杵築産アサリを復活させるための網台を確保するため、農村漁村応援合同会社が中心となり、現在、クランドファンディング(CF)で協力を呼びかけている。
30年前は、灘手地区、納屋地区、杵築城下周辺で広範囲にアサリが採取されており、シーズンになれば潮干狩りでにぎわっていた。2012(平成24)年の九州北部豪雨でアサリの漁獲量が激減したため、2015(平成27)年より潮干狩り・アサリの採取を禁止。
2017(平成27)年より、杵築市・県・市漁協が中心となり守江湾のアサリを復活させる取り組みを続けている。定期的に調査を行っているが、量が少なく小さめの貝が多いのが現状。
平成になってから、八坂川が大雨ではん濫を繰り返す度に護岸工事が行われる。川の流れが変化し、速くなって護岸に砂が堆積。砂が堆積することで、アサリの餌となる植物性プランクトンが川から流れなくなったためアサリが取れなくなったという。
納屋地区アサリ部会長の酒井重美さんは「生まれた時からアサリを獲っていた。復活プロジェクトを続けて15年になるが、復活までの道のりが遠い。アサリを復活させたいが稚魚が流れてしまう。網を増やしアサリを保護しながらアサリが捕れる海に戻ってほしい」と期待を込める。
プロジェクトに取り組む中、船で大量に捕獲するのではなく、アサリ貝が流れるのを防ぐため網を張り、網の下で育てアサリを捕獲。母貝を増やし育て、大きくなったら出荷する方法に変える。網はあさり部会で共同管理していく。杵築市の担当者は「これから網の中のアサリ貝を市とアサリ部会で共同管理し、出荷することで、漁師が収入を得るモデルをつくっていきたい」と話す。
農村漁村応援合同会社の橋本康治さんは「5年後に漁獲量37トン、5,625万円が目標。将来的に、植物性プランクトンを増やすため近隣の山林に広葉樹を植樹し、杵築市や国東半島周辺の緑も増やす。『杵築城下アサリ』として登録商標しブランド化していく」と意気込みを見せる。
CFの目標は300万円。リターンとして、現地を訪問できる人には養殖作業体験や被覆網養殖アサリ漁獲体験などを用意し、訪問できない人には杵築産のアサリを送る。
クランドファンディングは7月4日まで。